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【プロフィール】
モータージャーナリスト石井昌道(いしいまさみち)自動車専門誌の編集部員を経てモータージャーナリストへ転身。
国産車、輸入車問わず知識が豊富で、幅広い分野で執筆活動を行う。ワンメイクレースへの参戦経験も豊富で、ドライビングインストラクター、警視庁交通部の安全運転指導講師などの活動も行っている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考員。
運転支援機能とは
運転支援機能は、カメラやレーダーなどのセンサーを搭載して交通事故を防ぐよう、アクセルやブレーキ、ハンドルの操作を支援してくれる装置のことをいいます。
たとえばエアバッグですが、これは安全装置の一種で、万一の事故の際に乗員のけがや被害を抑えるもので、運転支援機能ではありません。運転支援機能とは「事故を遠ざけ、未然に防ぐ」ものです。つまり「予防安全」なのです。
代表的なものとして「自動ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)」があります。これは、前方の車や歩行者などに衝突しそうになると、まず警報音などでブレーキを踏んで危険を避けるようドライバーに促しつつ、それでもドライバーが反応しない場合は、最終的に装置が自動ブレーキをかけて衝突を回避し、被害を軽減するようにします。
その他に、アクセルとブレーキの踏み間違いによる事故を抑制する「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」や、高速道路で車の速度と前を走る車との車間距離を保つよう、車間距離制御を支援する「ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)」、高速道路などでカメラが白線を検知して車線中央付近を走行するよう、車線維持を支援する「LKA(レーンキープアシスト)」、ハイビームとロービームを自動で切り替えて、安全走行を支援する「先進ライト」などがあります。
例えば、センサーひとつとっても、カメラ、ミリ波レーダー(電波)、ソナー(超音波式センサー)、レーザーレーダー(赤外線)などいくつも種類があり、それぞれに得意・不得意があります。
カメラは画像認識ですので、車なのか歩行者なのか判断が可能ですが、悪天候時や夜間には弱いという側面を持っています。ミリ波レーダーは悪天候時や夜間でも影響を受けず、遠くまで把握できるので高速道路なども得意なのですが、物体が何なのかという認識が不得意です。このようにどのセンサーを搭載しているかによって性能に差が生じるのは必然で、カメラ+ミリ波レーダーなどと複数搭載して性能向上を図る手法もあるのですが、そのぶんコストが上がってしまうというのが悩ましいところです。
運転支援装置はあくまで支援であり、事故を完全に防ぐものではないということをふまえて活用することが望ましいでしょう。
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5つの目的別オススメ車種
1.街乗りメインで使いたい
日常の買い物など街乗りでの安心・安全を重視するなら市街地での歩行者への対応は必須。カメラを用いたシステムが高い適応力を発揮します。運転しやすい小型車にも運転支援機能が普及し始めているのはうれしいですね。
2.長距離をラクに走りたい
長距離も安心してラクに走りたいなら、特に高速走行での機能を重視しましょう。精度の高い車線認識が可能なカメラと長距離の感知や計測が可能なミリ波レーダーの併用タイプが望ましく、先進的なセダンはオススメです。
3.ファミリーカーとして使いたい
日常の送り迎えから休日の高速走行などマルチに使うファミリーカー。ここ数年で安全装備が著しく充実しました。車の周囲にいる子供も検知可能な360度モニターは死角多めなミニバンなどに心強い味方ですね。
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4.人気のSUVを楽しみたい
人気の高いSUV。大小さまざまなSUVがあり、それぞれに高機能ですが、特にミドルクラス以上は格段に充実している印象です。背が高く、重いボディとなるだけに、イザという時に対応できる優れた運転支援機能で選びたいですね。
5.運転支援機能の高さで選びたい
あくまで"お守り"といった位置づけの「運転支援機能」ですが、あることによって安心感が格段に違います。完成度の高さをとことん求めるならという観点で、特に優れた機能や性能を持つモデルをご紹介いたします。
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安心・安全のカーライフのために
便利な運転支援機能。でも過信しすぎないことが大切。
運転支援機能は安全性を飛躍的に高めるものです。
特に車の運転に不安を感じる人にとっては安心な機能でしょう。運転に自信がある人でも、ふとした時に車線のはみだしに気づいたり、前走車と近づきすぎたりなど、誰しも経験があるのではないでしょうか。そうした時に助けてくれる「お助けデバイス」として運転支援機能があれば心強さが生まれ、ゆとりをもって運転することができるはずです。
ただ、運転支援機能もそれだけで万全というわけではなく、あくまで運転を支援するものです。過信しすぎず、自らも気を引き締めて運転することが大切です。マイカーの運転支援機能を正しく把握し、上手くつきあっていくことで、より一層の安心・安全なカーライフを送ることができるでしょう。
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