【プロフィール】
モータージャーナリスト青山尚暉(あおやま・なおき)自動車雑誌の編集者を経てフリーのモータージャーナリストとして独立。愛犬家としても有名で、ペットに優しいクルマの分析なども手がける「ドッグライフプロデューサー」としても活躍。自動車の寸法を独自に計測するなど数値に基づいた評価を行い、ユーザー目線の厳しい評論に定評がある。
【プロフィール】
モータージャーナリスト藤島知子(ふじしま・ともこ)テレビ神奈川『クルマでいこう!』のパーソナリティとしても活躍する女性モータージャーナリスト。2017年プロレースシリーズの競争女子選手権「KYOJO CUP」に参戦するなど、レーシングドライバーとしての一面も。女性ならではの目線で自動車雑誌や女性誌、WEB媒体など幅広く活躍している。
アウトドアに向いている車とは
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アウトドアと言ってもいろいろジャンルがあります。スキーやキャンプもそうですし、自転車を乗せて子どもと一緒に水辺へ出かけるのもアウトドアです。実際のところ、セダンでもアウトドアには行けます。ただ、荷物の積載量が十分でなかったり、路面の悪いところで最低地上高(水平な地表面から車体の一番低い箇所までの垂直距離)がなくて車体をこすってしまったり、ということがあります。そう考えるとやっぱりアウトドアに最適な車に乗ったほうがいいですね。
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「日常づかいも考えるとなるべくコンパクトな方がいい」というサイズを重視する人もいるでしょうし、「ドライブを楽しく過ごせる車かどうかが大事」という居住性を重視する人もいますよね。荷物を積み込みやすいなど実用性も大事ですし。自分なりのアウトドアスタイルを楽しむなら、まずはオシャレなコンパクトカーから始めてみるのもいいでしょうね。
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そうですね。ラゲッジルームの使いやすさは大事です。荷物の積み込みやすさもそうですし、荷室床面の高さもですね。クーラーボックスとか重い荷物を持ち上げて載せるのは大変ですから。
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車によって違いますが「さりげない使いやすさ」って気になるポイントですね。
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僕はけっこう全国各地にアウトドアへ行くんですけど、目的地に着く最後の最後に道が急に狭くなることがあるんですよ。
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のどかな田舎町だと道が広いと思いがちですが、そうでもない所はありますね。
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そう。車幅がある車だと結構つらい時がありますので、最小回転半径(ハンドルを最大に切った際に、前輪の外側にあるタイヤが回ることができる半径)も注目ポイントなんです。そういう意味で、藤島さんが言うように「入門はコンパクトカー」はいいと思いますよ。コンパクトカーは最小回転半径が小さく、小回りがきいて扱いやすいですから。
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最近はコンパクトなクロスオーバーモデルも増えてきて選びやすくなりましたよね。
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そうですね。ハスラーやクロスビーなどはとても良くできた車です。シートアレンジも優秀で、いろんな使い方ができます。アウトドアの入門車種としてはオススメですよ。
─ プロのおすすめ:コンパクトでアウトドアビギナー向き
スズキハスラー
SUVとトールワゴンをクロスオーバーさせたスタイル。小回りが良く立体駐車場OK。アクティブ派は4WDがオススメ。
スズキクロスビー
SUVらしい骨太さとポップな愛らしさが魅力的。乗り心地も快適。SUVとワゴンのイイトコドリのクロスオーバーSUV。
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荷物がたくさん積める!荷室が使いやすい車選びのポイント
荷室(ラゲッジスペース)の容量や使い勝手は重要です。モータージャーナリストの方々に「荷室の使い勝手に優れたクルマ選び」について語っていただきました。
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日本車が本当にすごいなあと思うのは、小さな車の車内をうまく使う工夫が行き届いてるところなんですよね。
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そう。そういう意味ではスズキやダイハツ、そしてホンダはコンパクトカーづくりには長けているメーカーですので、得意なメーカーのクルマを選ぶのも選び方のひとつですね。
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地上高がそれほど必要ないなら、スズキのソリオやトヨタのルーミーもオススメです。トヨタは1LD-CAR(1LDKとCARを掛け合わせたもので、部屋のように空間を楽しめる車)とも表現していますね。家族で使える便利な車です。リヤシートの後ろは防汚加工が施されているので、掃除がしやすく自転車を積む時にも便利なんですよね。
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走破性が必要かそうでないかもありますよね。よく先入観で「大きなSUVじゃないと...」という考え方がありますが、小さい車でも工夫次第で何とかなります。まず、自分のライフスタイルをしっかり考えて、その上で選ぶと後悔しないと思います。見られるタイミングがあれば、実車で確認・検討してみるのも良いでしょう。
─ プロのおすすめ:居住性が高く、みんな快適
トヨタルーミー
両側スライドドア。ゆとりの居住性と積載力が特徴。荷室は防汚シートもあり、自転車などを積んでも掃除しやすい。
スズキソリオ
マイルドハイブリッド搭載で乗りやすく、車内をぐっと快適にしてくれるセンターウォークスルーあり。
アウトドアに必要な車の性能とは
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一見、同じように見える車であってもシートアレンジの作り次第で使い勝手は大きく変わりますよね。
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そうですね。ラゲッジルームの床下収納が広い車ですとかなり便利に使えます。これも重要な性能のひとつなんです。実は荷室と後席のシートクッションの厚みは関係があって、厚くなるほどシートアレンジの自由度が下がるんです。荷室をフラットにしづらくなります。「どんな性能を重視するのか」は考えておくべきことですね。
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そうですね。自分のライフスタイルにあわせて、シートアレンジと荷室、どちらを優先するかですね。容積だけでなく載せやすさも大事ですね。私が驚いたのはロッキーとライズです。4人乗車でも快適に乗れる空間を確保しつつ、荷室も広く、床下にもたくさん積める。これはびっくりしました。
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何人で行くのかも考慮すべき点ですよね。2人で行くのか、それ以上の人数で行くのか。人数分の道具が必要になりますから。それに週に何回もアウトドアを楽しむ人はそういないと思うので、普段使いも考えて車選びをしたほうが良いでしょう。
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なるほど。初めてのアウトドアは大荷物でも、慣れてくるとコンパクトになりますし。まずは一回アウトドアを楽しんでみて、使ったもの使わないものをチェックするのもいいかもしれませんね。
─ プロのおすすめ:アウトドアも街乗りも使い勝手良し
ダイハツロッキー
パワフルでキビキビした走り。視界も広く安心して運転できる。どんどん積める広い荷室はアウトドアにピッタリ。
トヨタライズ
コンパクトSUVクラストップレベルの荷室は使い勝手の良さを実感。先進安全性能で長距離や高速走行も安心。
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人気のSUVに乗るなら必見!SUVの魅力とオススメ車種
アクティブなライフスタイルをイメージさせるSUV。どんなモデルを選べばいいのか迷うことはありませんか?車のプロに【SUVの魅力】を聴いてみました。
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キャンプする人も、これから始めたい人もアウトドア向きな車を選んで、新しいライフスタイルを見つけるのもオススメです。特に最近は街乗りでも活躍するSUVやクロスオーバーが流行ってますので、雰囲気や見た目で選んでみてアウトドアの機会があれば使ってみるのはいいと思います。
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SUVは車高が高めで視界も良くて、日常での使い勝手にもつながるので魅力的ですよね。
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SUVはちょっと...という人には、ワゴンやハッチバックベースのクロスオーバーモデルは最適ですね。たとえばクロストレックとかはそうですね。
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クロストレックは車高も高めで4WDの走破性も優れていますし、立体駐車場OKというのも絶妙なサイズ感ですね。
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アイサイトツーリングアシストも標準なので安心です。運転に不慣れな人のリスク低減はうれしいです。
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アウトドアでは安全装備はてんこ盛りなくらいがいいですよね。
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車両まわりをカメラで見られるのもいいですね。アウトドアでは障害物などが確認できることも重要ですから。
─ プロのおすすめ:乗る人を選ばず扱いやすい
スバルクロストレック
タフな走行性が頼もしい。先進の運転支援機能も実装。街乗りにも扱いやすいボディサイズ。アレンジしやすい荷室は長尺物も積めて便利。
新しい楽しみ方ができる車の選択
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ミニバンベースでもアウトドア向きにアレンジされたモデルがありますよね。2列シートにしたシエンタのファンベース、フリードのクロスターなども魅力的です。
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シエンタのファンベースはナチュラルなカラーも揃っていて素敵です。自然になじむアースカラーっていいですよね。
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コンパクトミニバンクラスの2列シート仕様は大穴的存在でかなりいい選択肢です。但し、最低地上高は標準車と変わらないことが多いので、そのあたりは注意が必要ですね。あと、駆動方式は4WDのほうがやはり安心です。過信はいけませんが、安心感が違います。
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トヨタのe-Foru(トヨタのハイブリッドカーに採用されているモーターを使用した電気式4WDシステム)などは後輪をモーターでアシストしてくれるので、滑りやすい路面で活躍してくれそうです。
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アウトドアと言うと遠出も多いと思うので、全車速追従タイプのACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール/車間距離制御装置)があるといいですね。
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行くまでに疲れてしまうと思うように楽しめないですし、快適性の高い車に乗りたいですね。
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静かで快適な車だと、現地に着いてからも「さあ!キャンプ道具を開こう」っていう気持ちになれますよね。
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ドライブしながらUSBで音楽が聴けるといいですよね。ディスプレイオーディオもあるとうれしいです。
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気持ちのいい季節は、窓を開けてちょっと休憩する楽しみもあるので、フルフラットにできるシートアレンジはうれしいですね。それとSOSコールサービス。アウトドアでは何が起こるかわからないですから、あると安心です。トヨタはほぼ全車でオプション、マツダは最新モデルであれば選べたりします。オペレーターサービスもあると便利です。道に迷った時に連絡できるので、保険がわりに装着するのはアリですよ。
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あとは防汚タイプの機能装備、ラゲッジスペースの容量も重要です。
─ プロのおすすめ:アウトドアを存分に楽しめる
トヨタシエンタ
2列シート車のファンベースは大容量ラゲッジルーム。両側スライドドアつきで、シートアレンジもでき、燃費性能良好。
ホンダフリード
ワイルド味のあるクロスターはSUVライクなクロスオーバースタイル。室内は広く、運転しやすい。万全の安全装備。
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僕の中でアウトドアに最適な条件として、もう一つあるのが「ハイブリッド、またはプラグインハイブリッドであること」です。100V・1500Wコンセントがあれば、電化製品も使えて「どこでもカフェ」なんてことも可能です。夜になれば電気も使えますからね。例えば、三菱のアウトランダーPHEVなどはいいですね。
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家にある家電製品が車の電源で使えればキャンプグッズとしても使えるのでいいですね。
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AC100V・1500Wというスペックが大事で、ハイブリッド車に関しては、モデルによって出力が弱い電源の場合もあるので注意が必要です。
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ガソリンエンジンを使って発電できるので、いろいろな使い方ができますね。特にPHVはエンジンを掛けて電気を蓄える充電モードもありますし、事前に電気を蓄えておけばキャンプ場などでエンジンをかけず電気を使えますね。
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そうですね。PHVならキャンプでも電気が使えるので快適なアウトドアが楽しめるのは魅力です。目的地までの走行で電気を賢く蓄えて、自然豊かな場所ではEVモードで走ることもできます。
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アウトドア初心者にとって「快適に過ごせる」ことはとても重要で、ハードなキャンプもいいですが、子供や女性が快適に楽しめるキャンプができるのは大きな魅力です。
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PHEVやPHVとなると値段は高くなりますが、アウトドアのためだけに選ぶだけでなく、万一の災害時にも役立つので、そのために乗るというのもいいと思います。特にペットと暮らしているご家庭ですと、災害時に避難所生活は難しい場合がありますので、PHVがあればクルマを避難所として使えます。もちろん普段はモーター走行による最新の走りも味わえますしね。
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最近は大型台風による被害も多いです。「備える」という意味でPHVの選択は魅力的ですね。
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アウトランダーPHEVはSUVでもあるので、走破性の高い4WDは特にアウトドアを楽しむにはいい選択だと思います。
『アウトドア向きの車選び、大切な3つのこと』
一、 目的地に行くまでの「乗りやすさ・快適さ」も重視しよう!
二、 シートの仕様や荷室の大きさは必ずチェックしよう!
三、 街乗りや災害時など、アウトドア以外の用途の可能性も考慮しておこう!
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