荷物がたくさん積める!荷室が使いやすい車選びのポイント

多くの荷物を積んで、みんなで行きたい場所へ行ける。クルマがあるととても便利です。好きなものを持ち込んで、ペットも一緒に、楽しみ方は人それぞれ。目的や使い方にも寄りますが、積みたい荷物を積むには荷室(ラゲッジスペース)の容量や使い勝手が重要です。今回は実用性のある荷室にこだわるモータージャーナリストの方々に「荷室の使い勝手に優れたクルマ選び」について語っていただきました。

モータージャーナリスト 青山尚暉(あおやま・なおき)

【プロフィール】
モータージャーナリスト
青山尚暉(あおやま・なおき)愛犬家としても有名で、ペットに優しいクルマの分析なども手がける「ドッグライフプロデューサー」としても活躍。自動車の寸法を独自に計測するなど数値に基づいた評価を行い、ユーザー目線の厳しい評論に定評がある。

モータージャーナリスト 竹岡 圭(たけおか・けい)

【プロフィール】
モータージャーナリスト
竹岡 圭(たけおか・けい)自動車雑誌のほかさまざまなメディアで執筆を行うモータージャーナリスト。『おぎやはぎの愛車遍歴』(BS日テレ)の出演など、タレントとしても活躍中。「圭rally project」を立ち上げ、全日本ラリー選手権へチャレンジ中。

使いやすい荷室とは

女性目線でいうと「荷室の開口部の高さ」は気になります。ある程度低くないと重いものを積む時に苦労するので。それと「段差がない」ことも使いやすさには重要なポイントですね。さらにいうと開口部が横に広いと使いやすいです。

僕も同意見で、自転車やベビーカー、買いこんだ日用品などが積みやすい条件には低いことがもっとも重要です。また、段差があるとスーツケースなどを持ち上げて載せる必要があります。低さを求めるならミニバンやワゴンはオススメです。軽自動車ならN-BOXも良いですね。低くて段差がないのがオールマイティです。

そうですね。段差も積み下ろしではデメリットではあるのですが、バックドアを開けた時に荷物が転がってこないという点はいいんですけどね。理想は、床下収納があることでしょうか。動きやすい荷物は床下収納に入れておけば便利で安心ですね。大きな床下収納がある車種ですと、ノアヴォクシーなどミニバンが良いでしょうね。

後席を倒して荷室を広くした時に段差が少ないことも重要なポイントです。長尺物を積む、見晴らしのいい場所で車を停めて休憩する、などを想定した仕様の車種も増えてきていますね。アクティブに使用される方はそういう視点で選ぶのも良いと思いますよ。

最近は後席にシートスライド機能を持たせて、後席に人が乗っていても荷室を広げられるモデルが増えてきましたが、後席のシートを前にスライドさせると元の場所に隙間ができてしまい荷物が落ちそうになり、荷室が使いにくくなる場合があるんです。ハスラーなどはその隙間を埋めるべくガッチリとしたボードがあって使い勝手が良いですね。

あと「何を積んでいるか外から見えるのが気になる」という方がいらっしゃると思うのですが、その場合は独立したトランクを持つセダンはどうでしょう。防犯という意味でもオススメです。

確かにそうですね!独立した積載スペースであれば、食料品や汚れたユニフォームなどを積んでも車内に一切においが入ってこないですからね。セダンならではの大きなポイントだと思います。

ただ、大きな荷物を積むことが多いのであれば、セダンタイプよりもスペース的に余裕のある車種のほうがいいですけどね。

ミニバンやプチバンであれば自転車も積めますからね。

先ほど出た後席のシートスライドですが、どれだけスライド量があるかは重要ですが「その数値がすべてではない」と思った方が良いです。例えば軽自動車だと、分割スライド式なのか、シート一体のスライド式なのか確認したほうが良いでしょう。同じ車種の中でもグレードや仕様で異なることがあるんですよ。

2人で買い物に行くだけであれば一体式でも問題ありませんが、3人で乗ることがあるなら分割でスライドできないと使えないですよね。

荷物を載せることが多いなら、自由度や利便性を考えて分割式を選びましょう。限られたスペースを有効に使う軽自動車の最新型プチバンであれば、とことん考えられて作られているので、先ほど話した分割式や段差の少ない荷室なども上手く実現しています。

ハスラーのように「助手席のシートを前倒しできる」車種もあるので、サーフボードなどとても長い物でも載せることができますからね。

注意点がありまして、4WDですと張り出した部分が気になる車種もあり、床下収納に影響が出ているケースもあります。カタログやディーラーで見たモデルはFF(2WD)で、実際買うのが4WDという場合は気をつけてチェックしたほうが良いですね。

そうですね。それから、ガソリン車とハイブリッド車を設定している車種では、ハイブリッド車でバッテリーが追加されたぶん、床下収納が狭くなっていたり、荷室の奥が高く狭くなっていたりするケースもあります。荷室にこだわるならその差も確認した方が良いですね。



─ プロのおすすめ:収納力がありオールマイティーに使える

ホンダN-BOX

ホンダ N-BOX

シートアレンジが多彩で広い荷室を作りやすい。後席下に燃料タンクがない独自設計ならではの低床で、自転車も持ち上げる必要なくラクに積める。

スズキスペーシア

スズキ スペーシア

助手席の背もたれを倒せば長さのある荷物を積めるシートアレンジが可能。荷室開口部に自転車を積む時のタイヤ位置を示すガイドラインもあり、アウトドアや送迎時に便利。安全装備も充実。




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あると便利な荷室の機能と装備

ユーティリティナットは便利ですね。荷物の固定などに使えるので荷室に常備しておくと使い勝手の幅を広げてくれます。アクティブにクルマを使う方はチェックアイテムとして覚えておくと良いです。シエンタ ファンベースフリード+などに採用されています。バーやネットなどを付けることができ、工夫次第で楽しく使うことができます。

そうですね。ガレージを作る感覚にも似ていて、クルマの荷室に楽しいアレンジができるようになりますね。

荷物をたくさん積むなら居住空間と荷室空間を分けるパーテーションネットもオススメです。荷物が前にズレないので安全です。

格納式のボードで荷室を仕切れるようになっていたり、ボードのフックにショッピングバッグを下げることができたりすると、買い物した荷物がゴロゴロと荷室を自由に動くのを防げるので良いのではと思います。

それで言うと、買い物袋を引っかけるフックがあるクルマを選ぶのはどうでしょう。ミニバンは比較的そのあたりの仕様が充実しています。セレナは床下収納の中に仕切り板を立てることもできますよ。

便利さを追求するなら、トールルーミーは後席の後ろに防汚シートが付いていて、リヤシートを倒せばラゲッジ側のデッキボードと合わせて、自転車などをそのまま積むことができますよね。雨の日に子供を迎えに行き、濡れた自転車も積んで帰る...なんていう時に活躍しそうです。

注意した方が良いのは、バックドアの開口にどのくらいのスペースを必要とするかですね。ノアヴォクシーはバックドアの開口に、クルマの後ろに1メートルくらいスペースが必要です。普通に駐車すると開けられない場合もありますね。

そんな時、バックドアの一部だけを開けることができるステップワゴンや、バックドアガラスだけを開けられるセレナは便利ですね。荷室の広さだけでなく、ドアの形状やサイズによって使い勝手も大きく変わることを念頭においてクルマ選びをするのは大切ですね。

ミニバンで荷室の使い勝手を左右するのは、3列目シートの収納方法の違いですね。たとえばステップワゴンの3列目シートは床下に収納です。そうなると荷室自体は広く使えますが、荷室の床下収納スペースには荷物を置いておくことができなくなります。これがノアヴォクシーのように跳ね上げ式のタイプであれば、気にせず大きな床下収納を使うことができます。シートアレンジの仕方次第で荷室の使い勝手はかなり変わるんですよ。

床下収納も一長一短で、大きな床下収納スペースがあると荷室地上高が高くなり積み降ろしがしづらくなるケースもあります。女性目線だと、まず「低いこと」を優先したいです。そうなると便利なのはトール型の軽自動車かプチバンですね。

赤ちゃんのいるご家族で、ファミリーカーとして使うならベビーカーを積むことは考慮しますよね。トール系のフリードシエンタなら、後席の片側にベビーカーを乗せられるのでとても便利です。キャンプなどレジャーが多いご家族なら、荷物が多いのでスペースに余裕があることと積みやすいようにフラットかつ低いことが重要になります。

改めて考えてみたのですが、僕はステップワゴンセレナがオススメです。とにかく荷室の使い勝手にこだわりたいなら「低い地上高」や「ドアの使いやすさ」によりステップワゴンイチオシです。



─ プロのおすすめ:荷室の使い勝手にこだわるなら

ホンダステップワゴン

ホンダ ステップワゴン

大容量の床下収納はとにかく便利。3列目シートは分割で床下に格納できるので使いやすい。子どもでもできるほど軽い操作でフラットな荷室に。

トヨタルーミー

トヨタ ルーミー

後席は左右独立で前後にスライドさせることができ、床下に格納することもできる。荷室の高さが低く開口幅も広いので、女性にも扱いやすい。




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荷室でSUVを選ぶなら

ところで、最近は後席の広さより荷室の使い勝手にこだわったSUVが増えてきましたよね。

確かに、最近のSUVは使い勝手が良いですよね。後席のスペースをもっと取れる広さはあっても、キャンプ道具などを積むことを考えて荷室の広さにこだわってきていますね。アクティブに使う人にとっては便利になりました。

RAV4ライズなどはとても広い床下収納があり、見るからに便利そうですね。

もし、荷物の積みやすさというか、荷室の地上高の低さを求めるならヴェゼルCR-Vが圧倒的です。一般的なSUVは700mm程度が平均的なのですが、ヴェゼルは650mm、CR-Vは660mmと、とにかく低いんですよ。

SUVで「荷物も積みたいけど、多人数乗車もしたい」という人には、CX-8はかなり広い荷室備えているので便利に使えると思います。

私は街中などでも気兼ねなく走れる小さいクルマにどうしても目がいってしまうんですね。最近は、軽自動車でも26インチの自転車を積めるようになってきたので、その視点だとクロスビーイチオシです。荷室の使い勝手もよく、取り回しもいいので便利でオススメです。



─ プロのおすすめ:荷室も広く使えるSUVなら

トヨタライズ

トヨタ ライズ

コンパクトSUVの中でトップクラスの大容量の荷室。取り外し可能なデッキボードをはずすと深いサブトランクが出現。後席を前倒しして長尺物も積める。

スズキクロスビー

スズキ クロスビー

9.5インチのゴルフバッグをそのまま収納できる広さ、ベビーカーを立てて乗せられる高さがあり、後席を前方へスライドして荷室の拡大も可能。荷室側からラクに操作できるのも◎

     

     

『荷室が使いやすい車選び、3つのポイント』

一、 荷室の開口部は低めで横に広いほうが使いやすい!
二、 シートアレンジがしやすく、段差が少ないほうが使いやすい!
三、 外から荷物を見せたくない、車内の臭いが気になる人にはセダンがオススメ!

荷室が使いやすい車選び、3つのポイント

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