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カーリースの5年契約は可能?
カーリースの5年契約の内容は、カーリース会社によって異なります。
そもそもカーリース会社によって選べる契約年数が異なるため、5年契約できる会社とできない会社があるのです。料金プランによっても、契約できる年数は決まっていることがほとんどです。車種によっては3年しか選べないこともありますし、5年や9年といった契約期間が用意されていることもあるなど、カーリース会社やプランによる違いがあります。
基本的には、車検の期間に合わせてリース期間が決まっている場合がほとんどです。
カーリースの契約期間や料金の仕組み
カーリースには、契約満了時の車の想定価値である「残存価格」(以下、残価)が設定されていることがほとんどです。
車両本体価格からその残価を差し引き、各種税金や自賠責保険料等を加えます。その金額を契約期間で割って月額料金を算出します。
上記のような計算のため、リース期間が長いほど毎月のリース料金は安くなるという特徴を持っています。
では、実際にカーリースの期間で費用はどのように変わるのか、シミュレーションで比較してみましょう。
カーリースの費用を3年、5年、7年で比較
カーリースの費用を、3年、5年、7年で比較します。
シミュレーションに使用する車種は、トヨタ・ヤリスです。
日本国内では「ヴィッツ」という名で販売されていましたが、2020年のフルモデルチェンジを機に全世界で使用されていた「ヤリス」に統一されました。コンパクトカーに特化した車種であり、狭い道でも安心して運転することができます。
想定するヤリスのグレードは「X」、オプションなしで、車両本体価格は147万円です。
契約するカーリースは「コスモMyカーリース」で、最低限のメンテナンスを含む「シルバーパック」を契約するものとします。支払いは「頭金なし」「ボーナス払いなし」、月間走行距離は1,000km未満です。
シミュレーションの結果は、以下のとおりです。(金額は2023年8月時点)
3年 | 5年 | 7年 | |
---|---|---|---|
月額リース料 | 4万 7,080円 |
3万 4,540円 |
2万 9,480円 |
年間料金 | 56万 4,690円 |
41万 4,480円 |
35万 3,760円 |
契約期間の総額 | 169万 4,880円 |
207万 2,400円 |
247万 6,320円 |
※すべて税込み
リース契約期間が長いほど、毎月のリース料金も安くなることがわかります。ただし、長く利用するため総額も増える点には注意が必要です。
それでは、カーリースの契約を5年するとどんなメリットがあるのか、簡単にご紹介していきます。
カーリースを5年利用するメリット
カーリースを5年利用するメリットは、以下のとおりです。
- 1. 5年だけ車が必要なとき、カーローンと比べて簡単な手続きで利用できる
- 2. 5年だけ車が必要なとき、初期費用なしで利用できる
- 3. 新車ならメーカー保証の特別保証期間に収まる
上から順番にみていきましょう。
メリット①:5年だけ車が必要なとき、カーローンと比べて簡単な手続きで利用できる
1つめのメリットは、5年だけ車が必要なときに簡単な手続きで利用できることです。
カーローンを使って車を購入すると、さまざまな手続きが発生します。5年後に車が不要になる、買い換えの予定がある、といった場合には、その車を利用するのは5年間だけなのに、発生する手間が多いと感じるのではないでしょうか。
毎年の自動車税の支払い手続きを行わなければなりませんし、契約期間中の車検やメンテナンスを実施する工場を探す必要もあります。また、5年後には車の売却先の選定をはじめ、各種税金や自賠責保険料の還付といった手続きを行う手間が発生してしまいます。
一方のカーリースなら自動車税の支払いはカーリース会社が行ってくれますし、メンテナンスを含むプランであれば工場を探す必要もありません。5年後の返却の際も、ほとんどのカーリース会社では簡単な手続きで完了します。売却先の選定や税金などの還付を申請することもないので、カーローンで購入するよりも楽といえるでしょう。
車を5年だけ手軽に利用したい人には、カーリースがおすすめです。
メリット②:5年だけ車が必要なとき、初期費用なしで利用できる
2つめのメリットは、5年だけ車が必要なとき初期費用なしで利用できることです。
毎月のリース料金には各種税金や自賠責保険料、契約手数料まで含まれているので、契約時にまとまったお金を用意する必要はありません。
では、カーリースとカーローンの料金を比較してみます。
前述した条件と同じトヨタ・ヤリスのグレード「X」オプションなし、車両本体価格は147万円で、カーリースとカーローンの総額を比較しました。カーリース会社も同じ条件で、カーローンはトヨタ正規ディーラーとします。
内訳 | カーリース | カーローン | |
---|---|---|---|
車両本体価格 | 147万円 | 147万円 | |
月額料金 | 3万 4,540円 |
2万 8,900円 (初回3万3,048円) |
|
税金・ 諸費用 |
環境性能割 | - | 3万 6,000円 |
自動車重量税 | - | 2万 4,600円 |
|
自賠責保険料 | - | 2万 7,700円 |
|
販売 諸費用 |
納車費用、 その他手数料 |
- | 5万 6,050円 |
割賦手数料 | - | 26万 8,148円 |
|
自動車税種別割 (1,000cc) |
- | 2万5,000円×5回 | |
車検費用 | - | 5万3,530円×1回 | |
オイル交換 | - | オイル: 4,065円 ×10回 フィルター: 2,202円 ×5回 |
|
合計 | 207万 2,400円 |
211万 2,688円 |
※すべて税込み
※4月の購入を想定
※車検費用、オイル交換(2回)は相場を掲載
※2023年8月時点の料金
上記のとおり、総額は同水準です。ただし、カーローンには初期費用が必要で契約時にはまとまったお金を用意する必要があります。
初期費用なしで車に乗りたいなら、カーリースをおすすめします。
メリット③:新車ならメーカーの特別保証期間に収まる
3つめのメリットは、新車ならメーカー保証の特別保証期間に収まることです。
一般的にメーカー保証には「一般保証」と「特別保証」の2種類があります。
一般保証は、主に電装系の部品が保証の対象です。エアコン、カーナビなどが代表的な部品ですが、基本的には車を構成するすべての部品に対して保証があります。保証期間は、新車登録から3年または走行距離6万kmのいずれか早い方が対象です。
特別保証は、車が走行するのに必要な部品が保証の対象です。主に、エンジンやトランスミッションといった駆動系が保証の中心です。一般保証よりも安全を確保するうえで必要な部品であるため、保証期間が長く設定されていることが特徴です。保証期間は、新車登録から5年または走行距離10万kmのいずれか早い方が対象です。
一般保証も特別保証も、ワイパーやタイヤ、エンジンオイルなどの油脂類といった消耗品は保証に含まれません。
一般保証 | 特別保証 | |
---|---|---|
保証期間 | 新車登録から3年または6万km | 新車登録から5年または10万km |
保証部品例 | エアコン・カーナビなど | 走行に関わる重要な部品 |
カーリースを契約中に車が故障してしまった場合、修理費用は契約者が負担する場合がほとんどです。エンジンやトランスミッションが故障すると部品代は高額なので、契約者には大きな出費になってしまいます。
しかし、特別保証の期間中であればメーカーに無償で対応してもらうことができるため、上記のようなリスクを避けるためには5年以内のカーリースがおすすめです。
逆に、カーリースを5年利用するデメリットや注意点についてもご紹介していきます。
カーリースを5年利用するデメリットや注意点
カーリースを5年利用するデメリットや注意点は、以下のとおりです。
- 1. 長期契約と比べて毎月の費用が高額になる
- 2. 短い期間で新車に乗り換えられない
- 3. 5年契約できないカーリースもある
上から順番に説明していきます。
デメリット①:長期契約と比べて毎月の費用が高額になる
1つめのデメリットは、長期契約と比べて毎月の費用が高額になることです。
カーリースの5年契約というのは、7年以上の長期カーリースに比べると契約期間は短い部類に入ります。総額で考えると安くなりますが、毎月のリース料金は長期カーリースよりも高額になってしまうのです。
契約年数を5年にして毎月のリース料金を抑えるのであれば、グレードを下げたり中古車にしたりするなどの方法を選ぶといいでしょう。
デメリット②:短い期間で新車に乗り換えられない
2つめのデメリットは、短い期間で新車に乗り換えられないことです。
カーリース全体の代表的なメリットとして、契約満了のたびに新車に乗り換えられる点があげられます。初期費用や各種手続きが不要であり、毎月定額で利用できることから、少ない負担で新車に乗り換えることができるのです。
一方のカーローンは契約時に多額の費用が発生してしまうので、短い期間での乗り換えには不向きです。同時に、契約手続きや下取り時の手続きなどを踏まえると、現実的とはいえません。
しかし、5年以上のリース期間は3年以下のカーリースに比べると短い期間で車を乗り換えられず、同じ車に乗り続けることになります。数年単位でさまざまな車に乗りたい人や飽きやすい人は1~3年の契約期間が短いカーリースがおすすめです。
デメリット③:5年契約できないカーリースがある
3つめのデメリットは、5年契約できないカーリースがあることです。
カーリース会社やプランによっては5年契約に対応していないケースもあります。つまり、利用したいカーリース会社があっても5年のリース期間を選べなければ、違う契約期間を選択したり別のカーリース会社を利用したりする必要があります。
カーリース会社やプランが限定されてしまうこともあるので、さまざまな選択肢を用意したうえで5年リースを検討することをおすすめします。
まとめ:契約期間は毎月の料金やライフスタイルで決めよう
結論をいうと、カーリースの最適な契約期間は月額料金やライフスタイルで変わります。月額料金が負担になるようであれば契約期間を延ばしたり中古車を選んだりすることで費用を安く抑える方法もあります。
ただし、急な転勤などによって車が不要になりそうな場合、長期カーリースはおすすめしません。原則、中途解約は認められないからです。万が一中途解約が認められても、残り期間のリース料金をまとめて一括で支払う必要があります。
中途解約のリスクを避けるのであれば1年単位の短期カーリースもあるので、自分の予算やライフスタイルに応じた期間を選びましょう。
【プロフィール】
近藤 大助自動車メディアでの執筆経験は約5年。エイチームの「ナビクルcar」や「トヨタの中古車アプリ・remobii」の記事のほか、八重洲出版のバイク専門誌「モーターサイクリスト」、中古車ガリバー、Keeper Proといった大手の出版社や企業の記事を執筆。「Yahoo!ニュース」掲載経験あり。
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