目次
カーリースの料金は経費にできる!車の購入との比較
はじめに、事業用の車の費用を経費にするうえで「これは知っておきたい!」という基本知識から見ていきましょう。
カーリースと車の購入では、経費計上の方法が違う
事業用の車を次の3つの方法で利用・購入した場合、経費計上の方法が変わってきます。
- カーリース
- 車を購入(現金一括払い)
- 車を購入(ローン払い)
それぞれの具体的な経費計上の方法を見ていきましょう。
・カーリースの料金を経費計上するときの方法
カーリースの料金を経費計上するときの方法はシンプルです。たとえば、カーリースの料金が毎月5万円であれば、この5万円をそのまま経費計上※できます。
※ 家事按分のない場合。家事按分については後ほど解説
また、カーリース料金に、下記の費用が組み込まれているので、これらを別々に経費計上する手間もかかりません。
- 車関連の税金
- 車検代
- メンテナンス費
ただし、これらの費用がどこまでリース料金に含まれているかは、カーリース会社やプランによって変わってきます。
・車を購入(現金一括払い)した場合の経費計上の方法
一方、車の購入を選択すると、カーリースのときと比べて経費計上の仕組みが複雑になります。
まず、現金一括払いで車を購入した場合ですが、車の取得価額を一度に経費計上することはできません。車の取得価額をいったん固定資産(車両運搬具)として計上し、その一部を毎年度、経費計上していくのが税制のルールです。
なぜ、このような手続きが必要なのでしょうか。車、建物、機械設備といった事業に使う資産は、長期間に渡って使っていくものなので、その使用可能期間に合わせて分割して経費化していくという考え方に基づくからです。
そのため、今期は儲かったから1,000万円の高級車を購入し、1,000万円を一気に経費計上して節税するということはできません。
なお、その年度の減価償却費(経費計上できる金額)がどれくらいになるかは、次の2つの要素で決まってきます。
- 車の取得価額
- 法定耐用年数
ここでいう法定耐用年数とは、車の使用可能期間のこと。新車であれば、普通自動車が6年、軽自動車が4年と定められています。減価償却費は、「車の取得費用」に法定耐用年数で割り出した「償却率」をかけて割り出します(定額法の場合)。
参照:国税庁「減価償却のあらまし」
・車を購入(ローン払い)した場合の経費計上の方法
車をローンで購入した場合も、カーリースのときと比べて経費計上の仕組みが複雑になります。大きく次の2つの経費処理が必要です。1つ目の処理は、車の購入費用を固定資産として計上し、減価償却費として経費処理していくものです。
そして、2つ目の処理は、ローンの返済金額のうち、利息分を経費計上していくものです。ただし、ローンの元本部分は経費計上できません。理由は、車の取得価額(=元本)は減価償却費として期間をかけて計上していくからです。
車の費用を経費計上するときのポイント「家事按分」
個人事業主が車の費用を経費計上するなら、「家事按分」は絶対に抑えておきたい部分です。家事按分は、カーリース、車購入どちらを選んでも経費計上で関わってくる可能性があります。
家事按分とは、車の費用(ガソリン代やメンテナンス費も含む)、賃料、光熱費・通信費などを「事業で使った分」と「プライベートで使った分」に区分して経費計上することをいいます。
たとえば、走行距離の記録や利用した曜日などにもとづき、「事業8:プライベート2」で車を使っているなら、8:2のうち、8の部分だけを経費計上できます。
カーリースの料金を経費にしたときのメリット・デメリット
車の購入と比べると、カーリースには経費処理で以下のメリットがあります。ただし、デメリットもありますので、両方を把握したうえで「カーリースの選択がベストか」を判断しましょう。
カーリースの料金を経費にしたときのメリット
・メリット1.支出を効率的に経費化できる
個人事業主や経営者・財務担当者などであれば、支出を効率的に経費化することで節税効果を高めたいのではないでしょうか。
この点でカーリースは優位性があります。3つの選択肢(カーリース、現金一括払いで車を購入、ローンで車を購入)を比べると、カーリースは料金の100%を経費計上できるため優位性があると考えられます。
選択肢 | 経費計上できる内容 |
---|---|
カーリース | カーリースの料金を100%経費計上できる ※ 家事按分がない場合 |
現金一括払いで車を購入 | 減価償却費の範囲内で経費計上できる |
ローンで車を購入 | 減価償却費と支払利息だけ経費計上できる |
※ カーリースの料金を100%経費計上できるのは家事按分がない場合です。
・メリット2.支出が一定なのでコスト管理をしやすくなる
カーリースは、「支出を安定化させたい」と考える個人事業主や経営者・財務担当者に魅力的な仕組みです。カーリースは初期費用が不要で、月額料金が決まっています。支出が一定なのでコスト管理をしやすく、資金計画を立てやすいといえるでしょう。
これに対して、車を購入すると、初期費用、車検代、税金の納付などの影響で、支出が増える月が出てきます。この支出の変動で経営資金が圧迫される可能性もあり得ます。
・メリット3.車に関する面倒な手続きが省ける
個人事業主であれば、限られた時間を最大限に使って、事業をされている方が多いのではないでしょうか。カーリースは以下の面倒な手続きが省けるため、その分の時間を事業に回すことができます。
- 経費処理
- 税金の支払い
- 車検の手続き (プランによる)
また最近では、会計クラウドソフトが広がっているため、ご自身で仕分けや経費処理を行う個人事業主もいらっしゃるでしょう。前述のように、カーリースは車の購入に比べて、経費計上が楽なため、この部分でも労力が省けます。
カーリースの料金を経費にしたときのデメリット
・デメリット1.経営が悪化しても中途解約できない
事業用の車でカーリースを選んだ場合、「契約期間が満了するまで中途解約できないのが原則」というルールがデメリットになる可能性があります。
通常、カーリースを利用しているだけなら「中途解約できない」というルールはさほど気にならないでしょう。しかし、次のように経営状況が変わると、中途解約できないことがデメリットになってきます。
- 経営が悪化したのでカーリース契約をやめたい
- 売上が減ったのでカーリースの月額料金を節約したい
- 事業を縮小したいのでリース車の台数を減らしたい
もちろん、中途解約できないのは「あくまでも原則」というカーリース会社が大半です。気になる方は、どのような手続きをとると中途解約が可能か、契約前に詳細を確認しておくのが無難かもしれません。
・デメリット2.赤字経営だと審査で不利になることも
年単位で契約するカーリースでは、契約時にカーリース会社と提携している信販会社の審査が必要となります。この審査では、「収入」や「クレジットやローンの利用状況(現在の借入額や過去の支払い履歴)」などをチェックされますが、収入が少ない個人事業主や経営の厳しい企業は、審査に通らない可能性があります。
とはいっても、個人事業主でも一定の収入がある方は、問題なくカーリースが利用できます。なお、どれくらいの収入があれば審査に通りやすいかは、カーリース会社ごとに違うためケースバイケースです。
・デメリット3.契約満了時に追加費用が発生するケースもある
事業用の車でカーリースを選んだときのメリットには、「支出が一定なのでコスト管理をしやすくなる」がありました。ただし、車の使い方によっては、以下のような追加費用が発生することもあるため、注意が必要です。
- 残存価格の差額:あらかじめ設定していた残存価格と契約満了時の査定額の差額
- 原状回復費:車の傷や破損などを直すための費用
- 超過走行分の精算:契約の走行距離を上回った場合に必要な精算金額
ただし、これらの追加費用は、注意を払ってリース車を利用していれば発生するリスクを抑えることができます。また、車を購入した場合でも、車を傷めてしまえば修理費用がかかりますし、長い距離を走れば価値が落ちやすくなります。
これらのことを踏まえた上で、事業用の車でカーリースを選ぶべきかを検討しましょう。
カーリースと経費に関する、よくある疑問
高級車のカーリースでも経費にできる?
たとえば、外車であればベンツ、国産車であればレクサスなどの高級車を提供するカーリース会社も一部あります。個人事業主や法人がハイクラスのリース車を商用車にすることは問題ないと考えられます。
ただし、個人事業主がプライベートでも使っているなら、家事按分の割合を明確にしておくことが大切です。どのような割合が適切か(例:事業用8・プライベート 2 など)、どのような方法で家事按分の割合を明確にするか(例:使用履歴を保管するなど)については事前に税理士に相談しておきましょう。
もちろん、事業だけで高級車を使用しているなら、カーリース料金をそのまま経費計上しても問題ないと考えられます。
カーリースの頭金も経費にできる?
事業で利用している車のカーリース料金は、全額経費に計上することが可能です(家事按分のない場合)。しかし、カーリースの費用でも頭金になると、以下のような処理が考えられます。
- 資産に計上して減価償却していく
- 前払費用として計上して契約期間で按分する
実際にどのような処理が適切かについては、契約満了後にリース車をもらえるか、残価設定があるかなどの状況で変わってくるため、事前に税理士に相談してみましょう。
参照: 税理士ドットコム「リース車 頭金について(前田靖税理士)」「法人での車のリース契約について(角谷廣一朗税理士)」
カーリースを経費計上する際の勘定科目は?
契約満了後に車を返却する残価設定タイプのカーリースの料金であれば、経費計上するときの勘定科目は以下のようになります。
借方/リース料
貸方/普通預金
※ 預金口座から引き落としの場合
ただし、契約満了後にリース車がもらえる契約になると、資産計上して減価償却費として処理するなどの対応が必要になる可能性もあります。
まとめ:コスモMyカーリースなら、国産全メーカー・全車種から希望の商用車が選べる!
ここでは「カーリースと経費」をテーマに解説してきました。ポイントを振り返って見ましょう。
- 事業用の車をリースした場合、カーリース料金は経費にできますが、 車の購入(現金一括払い・ローン払い)と経費計上の方法が違います。 経費計上の方法がもっとも簡単なのはカーリースです。
- 車の費用を経費計上するときは「家事按分」を反映して処理するのが税制のルールです。車を事業とプライベートで使っているなら、これを明確に区分けし、事業用の部分のみを経費計上します。これは、車の購入でもカーリースでも同様です。
- カーリース料金を経費にしたときのメリットは、「支出を効率的に経費化できる」「支出が一定なのでコスト管理をしやすくなる」「車に関する面倒な手続きが省ける」などです。
- 一方、デメリットは「中途解約できない」「追加費用が発生するケースもある」などです。
- 高級車でもカーリースで経費計上できます。カーリースの頭金については、状況によって処理方法が変わってくるため、事前に税理士に相談しましょう。
本記事をお読みになって、「事業用の車は、カーリースを選ぶのがよさそうだ!」と感じた方は、コスモMyカーリース公式サイトの「法人向けプラン」をチェックしてみてはいかがでしょう。車検・税金・メンテナンスがカーリース料金に含まれているため、経費処理が楽々。国産全メーカー・全車種からリース車を選べるのも魅力です。
【プロフィール】
本間 貴志編集ライター。WEBライティング実務士。ビジネス書の編集会社、アスラン編集スタジオを経てフリー。ZUU、YANUSY、MONEY TIMESなど大手WEBメディアで活躍。車をテーマにした記事も数多く執筆。信頼性のあるデータに基づいた記事が得意。
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