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カーリースは決して高いとはいえない

結論を先にいうと、カーリースのリース料金は一概に高いとはいえません。
理由は、車両購入費用と購入後発生する費用をあわせるとカーリースのリース料総額と大きな差はないからです。
駐車代やガソリン代は毎月のリース料金に含まれないので、いずれにせよ自分で支払う必要はありますが、カーリースの場合は、毎年発生する自動車税および車検・整備・点検など(メンテナンスプランを契約時)は、もともとリース料に含まれます。
上記のようなサービス内容を踏まえると、高いから損をするともいえないでしょう。
カーリースの費用を計算する方法

カーリースの費用は基本的に、残価設定と呼ばれる方法が採用されています。
そもそもカーリースは、契約者が乗りたい車をカーリース会社が代わりに購入したあと、契約した期間だけ貸し出してもらえるサービスです。「所有者」はカーリース会社であり、契約者は「使用者」という扱いです。レンタカーのように短期間だけ車を借りるのではなく、5年や7年といったように長期で契約することが一般的です。
では、リース料金の算出方法を説明していきます。
リース料金の算出方法を説明
カーリースの多くは、残存価格(以下、残価)が設定されています。
残価とは「契約満了時点での車の予想価格」であり、契約時に設定されます。車両本体価格から残価を差し引いた金額がリース料金のベースになります。
たとえば、車両本体価格と諸費用の合計が300万円、残価が100万円であれば、契約者の支払いは200万円です。ほかにも、自動車税や自動車重量税、自賠責保険料などを加えたうえで、契約年数で割ってリース料金が決定します。
また、「残価」という予想価格で契約しているため、リース契約満了時に車両の査定額が残価を下回っていると差額を精算しなければならないこともあります。
カーリースは本当に高い?総額を購入と比較

カーリースは車両購入と比べると高いのか、実際に総額を計算して比較していきます。
シミュレーションする車は、「トヨタ・カローラ」です。
グレードはG、オプションなし、4月1日に購入するものとして想定します。カーリースはコスモMyカーリースで、購入はディーラーとします。
カーリースは5年契約、車両購入も借入期間5年で設定して比較します。
カローラ5年間の総額をカーリースと購入で比較
カローラは、トヨタ自動車のロングセラーモデルで年間世界販売台数1位の車です。高い排気ガス排出性能や安全性能、運転者目線で設定された足回りのチューニングなどが大きな特徴です。
では、カローラの総額をカーリースと車両購入で比較してみましょう。
内訳 | カーリース | 車両購入 | |
---|---|---|---|
月額料金 | 46,530円 | (43,700円) (初回46,659円) |
|
税金・諸費用 | 環境性能割 | - | 54,400円 |
自動車重量税 | - | 36,900円 | |
自賠責保険料 | - | 27,700円 | |
販売諸費用 | 納車費用、その他手数料 | - | 57,900円 |
割賦手数料 | - | 404,959円 | |
自動車税種別割(1,800cc) | - | 36,000円×5回 | |
車検費用 | - | 60,840円×1回 | |
オイル交換 | - | オイル:6,900円×10回 フィルター:1,700円×5回 |
|
合計 | 2,791,800円 | 3,120199円 |
※すべて税込み
※車検費用、オイル交換(年2回)は相場を掲載
※4月に購入した場合を想定
※コスモMyカーリースはシルバーパック(税金、車検、オイル交換を含む)を想定
※2023年4月時点の情報
総額で比較した場合、カーリースの方が安くなることがわかります。購入の場合は1年に1回の自動車税や2年後(初回は3年)の車検費用も自分で支払っていく必要があるので、それらも含めると購入の方が高額になります。
では、なぜカーリースが高いといわれているのか、その理由を見ていきましょう。
カーリースが高いとされる理由

カーリースが高いといわれる理由は、以下のとおりです。
- 1. 返却前提で、自分の車にはならない
- 2. 走行距離制限がある
- 3. 原状回復による精算がある
- 4. 契約によっては残価精算がある
- 5. 中途解約で違約金が発生する
- 6. そもそも金額比較している対象項目が違う
上から順番に見ていきましょう。
理由①:返却前提で、自分の車にはならない
カーリースが高いといわれる理由は、自分の所有物にならないからです。
そもそもカーリースとは、カーリース会社が代わりに購入した車を契約者がお金を払って借りるという仕組みであり、返却が前提です。一方で車のローン購入は返済が終わったら自分の所有物になるので、完済後は月々の費用が不要ですし、売却も可能です。
つまり、月々の支払いがあるのは同じなのに、最終的には売ることもできないことからカーリースは高いといわれるのです。ただし、カーリースの月額料金には各種税金や自賠責保険料、印紙代なども含まれています。また、購入オプション付きのカーリースではリース期間満了時に車を購入することができます。
車を所有したい場合は、購入オプション付きのカーリースや車の購入を検討しましょう。
理由②:走行距離制限がある
走行距離制限があることも、カーリースが高いといわれる理由です。
カーリースの多くは月間あたりの走行距離制限があり、カーリース会社によって500~3,000kmと幅があります。リース期間満了時にカーリース会社が決めた走行距離を超過していると、契約者は追加金を支払う必要があります。
月間1,000kmが採用されている場合が多く、追加金は1kmあたり5~15円ほどです。
たとえば、1km5円でリース満了時に1万km超過していた場合、超過料金として5万円を支払わなければなりません。超過しないためには、走行距離の上限が自分の用途に合ったものを契約時に選ぶ必要があります。
ただし、日本人の年間走行距離の平均は年間約6,000km(月間500km)なので、通常用途であれば1,000kmもあれば十分です。
走行距離が多い人には、走行距離制限のないカーリースや車の購入が向いています。
理由③:原状回復による精算がある
原状回復があることも、カーリースが高いといわれる原因のひとつです。
多くのカーリースは、原状回復した状態での返却が求められます。キズや凹みがあったり過度なカスタマイズがあったりする場合は、修理費用の請求があります。
修理費用は決して安くないうえに返却時にまとめて請求されるため、大きな負担になる場合もあるでしょう。ただし、一部のカーリースではメンテナンスリースを契約することで、一部の修理費用が補償されることもあります。また、加入している自動車保険を使って修理する方法もあります。
リース期間中の運転に自信のない人は、メンテナンスリースを契約するかカーリース専用の自動車保険への加入がおすすめです。
理由④:契約によっては残価精算がある
残価精算があることも、カーリースが高いといわれる理由です。
カーリースは、契約満了時の車の価値を予想する残価を設定したうえで毎月のリース料金を支払っていきます。しかし、返却時に残価と実際の査定額に差がある場合は、カーリース会社から差額が要求されることもあるのです。
ただし、ひと括りにカーリースといってもクローズドエンド方式という残価精算が不要な契約や満了時に車両がもらえるカーリース会社もあるので、その場合は残価精算が発生することはありません。
返却時の残価精算を避けるのであれば、残価精算が不要なカーリースや車両購入を選ぶ方がいいでしょう。
理由⑤:中途解約で違約金が発生する
中途解約時の違約金も、カーリースが高いといわれる大きな理由です。
原則、カーリースは契約期間中に解約することはできません。契約者本人の死亡、長期入院など特別な理由があれば中途解約が認められますが、残りの残額を一括で支払う必要があります。たとえば、リース期間7年、月額3万円で残り期間が3年だった場合は100万円以上の違約金を支払わなければならないのです。途中で解約できても、契約者は大きな負担になってしまいます。
違約金の支払いリスクを抑えるのであれば、短期カーリースや違約金のないカーリースも検討してみましょう。
理由⑥:そもそも金額比較している対象項目が違う
金額比較している対象項目が違うことも、カーリースが高いといわれる理由です。
車両購入の支払いは、車両本体価格を中心とした返済です。そのため、毎月の支払いに各種税金や自賠責保険料、車検・点検、メンテナンス費用は含まれていません。
一方で、カーリースの月額料金には各種税金や自賠責保険料のほか、プランによっては車検・点検・メンテナンス費用も含まれます。
つまり、金額比較している対象項目は購入とカーリースでは違うのです。
カーリースに安く乗る方法

カーリースに安く乗る主な方法は、以下のとおりです。
- 中古車を選ぶ
- リース期間を長くする
- 特典のあるカーリースを選ぶ
カーリースの中には中古車も利用できるカーリース会社があり、同じ車種でも車両本体価格が安い分、毎月のリース料金も下がります。
リース期間によって月額料金が決まっているので、長くすることでもリース料金が抑えられます。一般的には3~7年の契約ですが、9年や11年といった契約ができるカーリース会社を選ぶことも可能です。
コスモMyカーリースのように、契約するとガソリン代が割引されるようなカーリースもあります。上手く特典を利用することで、維持費を安くすることもできるのです。
上記のような方法を使うことで、毎月のリース料金を抑えることができます。
まとめ:カーリースが高いかどうかは用途や目的によって違う

カーリースが高いかどうかは、用途や目的で異なります。
各種税金やメンテナンスを含めたうえで判断すると、カーリースは安いといえるでしょう。しかし、カーリースは契約満了後に自分の所有物にはならないので、ローン完済後に車を売却できる購入と比べると総額は高くなる可能性もあります。
ただ、カーリースは支払いや手続きを省けるメリットがあるうえ、月々定額なので出費の管理も楽です。法人の場合は、全額経費として計上できることから節税対策になるだけでなく、管理をカーリース会社に任せることで人件費の節約にもつながります。
つまり、メリットを上手く活かすことで安くなる場合もあるのです。
上記のことを念頭に置いて、ぜひカーリースも検討してみてください。

【プロフィール】
近藤 大助自動車メディアでの執筆経験は約5年。エイチームの「ナビクルcar」や「トヨタの中古車アプリ・remobii」の記事のほか、八重洲出版のバイク専門誌「モーターサイクリスト」、中古車ガリバー、Keeper Proといった大手の出版社や企業の記事を執筆。「Yahoo!ニュース」掲載経験あり。
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