目次
カーリースの走行距離は「走っていい距離」のこと
カーリースの走行距離制限とは、契約したリース車の「走っていい走行距離」のことです。
ほとんどのカーリースサービスにおいて走行距離制限が設けられているので、利用前には必ず確認しておきましょう。
カーリース会社の中には、走行距離制限を設けていないカーリース会社やサービス、条件を満たすことで走行距離制限をなくせるカーリースも存在しています。ほかにも、リース契約期間満了後に車を購入できるプランなら、走行距離の制限はありません。
ただし、走行距離制限のないカーリースや車がもらえるカーリースは一般的なリース料の相場よりも高い傾向にあるので、利用時は注意が必要です。
カーリースの走行距離制限を超過するとどうなるの?
カーリースの走行距離制限を超過すると、ペナルティが発生します。
ほとんどのカーリース契約では契約満了時に走行距離を確認して、超過した場合には「1kmあたり数円」という金額で精算する必要があります。超過料金と月間走行距離の相場は、以下のとおりです。
- 超過料金:1kmあたり5円~15円
- 月間走行距離:500~2,000km
たとえば1kmあたり5円だった場合、1万kmを超過すると5万円です。
ただし、カーリース契約満了後にチェックするのは契約中の走行距離であって、月単位で距離を測定するわけではありません。たとえば、1カ月2,000kmの契約で月3,000km走ったとしても、翌月の走行距離が1,000kmなら問題ないのです。
月間の走行距離はあくまでも目安であり、カーリース会社や契約プランで異なります。
カーリースに走行距離制限が設けられている理由は?
カーリースに走行距離制限が設けられている理由は、残価(残存価額)にあります。
残価とは、「将来の車の価値」のことです。
車の購入方法の1つである残価設定ローン(ローンの一種)は毎月のローン返済額を安くできることで有名ですが、カーリースも同様に残価を設定することで毎月のリース料を安くできるのです。
カーリースの場合は、「契約満了時のリース車両の予想価格」が残価です。
契約満了後、カーリース会社に返却されたリース車両は、中古車として再販されることがほとんどです。中古車の価格(=価値)は、年式や走行距離が査定の対象になることから、残価を高くしてリース料を安くするために走行距離を制限しています。
しかし、返却されたリース車両の価値が残価を下回っていると、カーリース会社が差額を負担しなければなりません。
上記のような事情から、多くのカーリースに走行距離制限があるのです。
走行距離の長いカーリースはお得とはいえない
中には走行距離制限の長いカーリースもありますが、決してお得とはいえません。
理由は、月間走行距離制限は残価が大きく関係しているからです。
月間走行距離が長いということは残価が低く設定されるため、結果として毎月のリース料は高くなってしまいます。
つまり、普段から長い距離を走ることが少ない人は、月間走行距離が短い方がリース料を抑えられるので、負担は少ないのです。
以上の理由から、走行距離制限だけでカーリースを決めることはおすすめしません。
カーリースに走行距離制限があるメリットとデメリット
カーリースに走行距離制限があることのメリットとデメリットは、以下のとおりです。
- メリット:月々のリース料が安くなる
- デメリット:走行距離が気になってしまう
上から順番に説明していきます。
メリット:月々のリース料が安くなる
走行距離制限のあるカーリースは、月々のリース料が安く抑えられることがメリットです。
カーリースに走行距離制限があるということは、リース契約後の車の価値を保てるということです。つまり、車両本体価格から差し引く残価を高く設定できるので、月々のリース料を下げることが可能です。
中古車相場は、走行距離が多いほど下がるという特性があります。そのため、車に乗ることが多く走行距離が増えると、リース車両の価値は下がり続けます。
しかし、走行距離制限が設けられていると走行距離は必要以上に増えません。エンジンやトランスミッション、消耗品などへの負担も少ないといえます。走行距離が多くなると故障リスクも上がりますが、走行距離が短いと修理代や整備代も節約できるのです。
リース満了後に車を買い取る場合も価値が高い状態の車が手に入るので、その後、車が不要になった場合でも売却時は高く買い取ってもらえる可能性が高くなります。
デメリット:走行距離が気になってしまう
走行距離制限のあるカーリースは、走行距離が気になる点はデメリットです。
遠距離の会社への通勤や旅行などで車を使うことが多く、走行距離が増えやすい人は走行距離制限を超過しないか、気になってしまいます。
せっかくカーリースを利用しているのに「走行距離が増えるから今日は外出を控えよう」と、車に乗らなくなってしまうこともあるでしょう。
精神的なストレスが増えるだけでなく、リース期間満了後の超過料金も含めると、さまざまな部分に負担がかかってしまいます。
走行距離制限を超過すると、残存価額によって割り引かれた金額よりも超過金額の方が割高になってしまうこともあるので、走行距離には注意する必要があります。
車に乗って長距離を移動することが多い場合は、走行距離の長いリースや走行距離制限のないカーリースをおすすめします。
カーリースの走行距離超過を気にしないためのポイント
カーリースの走行距離超過を気にせずに乗る方法は、以下のとおりです。
- 1. 事前に自分の走行距離を把握しておく
- 2. 走行距離超過時の規約を確認しておく
- 3. ライフスタイルの変化はないか予測しておく
上記の点に注意してカーリースの走行距離を選んでおければ、普段から距離を気にせずに乗ることができます。
3点の詳細を、順番に見ていきましょう。
ポイント①:事前に自分の走行距離を把握しておく
1つめのポイントは、自分の走行距離の把握です。
あらかじめ自分の走行距離を予測して、リース満了時に走行距離を超過してしまうことにならないか考えておきましょう。
毎日使用しているのか、週末だけしか乗らないのかによって、走行距離は大きく異なります。平日の通勤や通学、週末の旅行や子どもの送迎などに、どれだけ乗っているのか計測しておくことが大切です。
走行距離を計測できる機能を備えている車もあるので、使用してみるのもいいでしょう。
想定外の利用も考えられるので、計測した距離よりも多い走行距離を選ぶことをおすすめします。
ポイント②:走行距離超過時の規約を確認しておく
2つめのポイントは、走行距離超過時の規約の確認です。
カーリース会社によって走行距離の計測方法が異なるので、確認しておくことをおすすめします。一般的にはリース期間満了時の走行距離を計測しますが、一部では1カ月ごとに計測するカーリース会社もあるからです。
ほかにも、走行距離を超過したときの超過料金もカーリース会社によって違います。あまり高額な超過料金が請求されるようであれば、違うプランやカーリース会社も検討しましょう。。
ポイント③:ライフスタイルの変化はないか予測しておく
3つめのポイントは、ライフスタイルの変化です。
ライフスタイルが変化すると、走行距離が多くなることもあります。
転勤や転職、結婚、親の介護といった生活の変化があると、カーリース契約時よりも走行距離が多くなってしまいます。今後のライフスタイルの変化をある程度は想定したうえで、カーリースの走行距離を選んでおきましょう。
仮に当面はライフスタイルの変化がない場合でも、少し余裕を持った走行距離にしておいた方が無難です。
一般的な走行距離の目安
一般的な走行距離の目安は、年間6,017km(月間500km程度)です。
ソニー損害保険株式会社が2020年に行った走行距離の調査では、男性の平均が6,293km、女性は約5,741kmであり、男性の方がやや多いことがわかっています。年代別では、10・20代が6,400km、30代が6,088km、40代が5,916km、50代5,664kmと年代が上がるにつれて距離が短くなるという結果も出ています。
上記の結果から、日常的に車を利用していても月間500~600kmに収まります。
年間・月間走行距離の一例は、以下のとおりです。
月間走行距離 | 目安 |
---|---|
250km以下 | あまり乗らない |
250km超400km以下 | 近所の買い物が中心 |
400km超600km以下 | 通勤・通学片道30分程度 |
600km超750km以下 | 休日の使用、時々旅行 |
750km超900km以下 | 通勤・通学片道1時間程度 |
900km超1,300km以下 | 毎日長距離を運転 |
一般的にカーリースは月間1,000kmで設定されているので、標準的な用途であれば走行距離制限を超過することはないでしょう。毎日長距離の運転をする場合は、月間1,500kmのカーリースを契約しておけば、余裕を持って乗ることもできます。
走行距離制限のないカーリースも視野に入れる
遠方への通勤など、車で長距離を走ることが多い人は走行距離制限のないカーリースも視野に入れましょう。
一部のカーリース会社では、走行距離無制限のカーリースも取り扱っています。
走行距離無制限であれば日ごろの走行距離を気にすることなく乗れるうえ、急にライフサイクルが変化しても柔軟に対応できる魅力があります。リース期間満了後の精算時に超過分を支払うこともないので、よりマイカーと同じ感覚で乗ることが可能です。
基本的に残価設定のないカーリースは、リース契約満了後に契約者に譲渡されることがほとんどなので、長期間同じ車に乗り続けたい人にもおすすめです。ただし、毎月のリース料は高額になることが多いことを踏まえたうえで検討してください。
まとめ:カーリース利用前に自分の走行距離を知っておこう
カーリースは、とても便利なサービスです。
上手く使うことで、節税効果が得られたり月額料金を一定にしたりできるメリットもあります。メンテナンスプランに加入することで、定期的なメンテナンスをカーリース会社に任せることも可能です。
しかし、走行距離制限や自分の所有物ではないといったデメリットもあります。走行距離に関しては通常の範囲で利用する分には超過することは少ないので、長距離の運転を続けるような人でない限り気にする必要はないでしょう。リース車両についても、リース期間満了後に譲渡されるカーリースサービスもあります。
カーリースならではのメリットを上手く活かして、快適なカーライフを満喫しましょう。
【プロフィール】
近藤 大助自動車メディアでの執筆経験は約5年。エイチームの「ナビクルcar」や「トヨタの中古車アプリ・remobii」の記事のほか、八重洲出版のバイク専門誌「モーターサイクリスト」、中古車ガリバー、Keeper Proといった大手の出版社や企業の記事を執筆。「Yahoo!ニュース」掲載経験あり。
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