目次
残クレの仕組みをわかりやすく
残クレとは「残価設定型クレジット」を略したキーワードです。その仕組みを見ていきましょう。
■残クレとは将来の想定価値を差し引いたローンのこと
残クレは、自動車メーカーや販売店、一部の中古車販売店などで紹介される車のクレジット契約(ローン契約)です。「月々の負担を抑えられます」「ワンランク上の車に乗ることができます」といったセールストークで紹介されることが多いのではないでしょうか。
残クレを利用するまでの流れは、次の3ステップ。月々のローン返済額が通常のカーローンより安くなります。
- 1. メーカーや車種を選んで申し込む
- 2. 車の価格(車両本体価格)から、将来の想定価値(残価)を差し引く
- 3. 上記の残価を差し引いた金額をもとに月々のローンを支払う
※残クレはクレジット契約のため審査があります。
通常のカーローンであれば、車の価格全体に対してローンを支払います。これに対して、残クレは「車の価格−残価」の金額に対してローンを支払います。残価を差し引く分、残クレの方が支払金額は軽くなります。
注意点としては、残クレは将来の想定価値が保証されているケースが大半ですが、保証されていない残クレもあることです。保証されていない残クレだと、車の価格が予想を下回った場合、追加のお金を請求されるケースもあるため、どちらのタイプの残クレなのか契約前に確認しましょう。
■残クレ終了時に3つの選択肢から選べる
次に、残クレを利用して車を購入したときの流れを確認しましょう。残クレ契約後は、「金利を含む月々の返済」を支払っていきます。そして、最終支払い月の段階で、次の3つの方法のいずれかを選択します。
- 1. 車を返却する
- 2. 利用していた車を購入する
- 3. 新しい車に乗り換える
補足すると「1.車を返却する」を選択した場合、あらかじめ決めていた走行距離を超えていたときには超過分の料金を支払わなければなりません。また、「2.利用していた車を購入する」を選択した場合は、残価分を一括返済または再度新たなローンを組んで支払っていきます。
「3.新しい車に乗り換える」を選択した場合は、次の車も残クレを利用することで比較的スムーズに乗り換えられます。
残クレを利用するときは、「カーローンより月々の支払金額が低くなること」だけに目を奪われるのではなく、最終支払い月の段階で選ぶ3つの選択肢を把握しておきましょう。
そして、最終支払い月の時点で車を購入するなど、追加のお金が必要な場合は、計画的に準備しておくことも大切です。残クレは3~5年程度の期間でローンを組むことが多いですが、とくに3年契約の場合は意外にすぐ期限が迫ってくるので要注意です。
残クレのメリット・デメリット、相性がよいのはこんな人
残クレは使い方次第で、契約者のプラスにもマイナスにもなる仕組みです。それだけに、メリットとデメリットの両方を把握して、ご自身と残クレの相性を見極めることも大事です。
■残クレのメリットは?
残クレには「返済額を抑えやすい」「乗換えがスムーズ」「新型車種に乗り続けられる」「中古車でも利用できる」などのメリットがあります。それぞれのくわしい内容を確認してみましょう。
・残クレのメリット 1:返済額を抑えやすい
ここまで解説してきたように、残クレの一番のメリットは、通常のローンよりも毎月の返済額を抑えられることです。 市場価格の高い車など残価が高くなるほど、毎月の返済額を抑えやすくなるのもポイントです。
・残クレのメリット2:乗換えがスムーズ
残クレの最終支払い月で「新しい車に乗り換える」を選択し、新しい車も残クレで契約すればスムーズに乗り換えられます。現金購入のように、乗り換えるタイミングでまとまったお金を用意する必要がありません。
ただし、自動車ディーラーが取り扱う残クレの場合、乗り換えるときに同じメーカーの車しか選べないという制約があります。
・ 残クレのメリット 3:新型車種に乗り続けられる
一般的に、残クレの契約年数は3~5年程度です。残クレを継続利用して乗り換えていけば、新型の車種にいつも乗り続けられるメリットもあります。
・ 残クレのメリット4:中古車でも利用できる
残クレは新車の販売店だけでなく、一部の中古車販売店でも利用できます。割安な中古車の価格からさらに残価を差し引くことで、月々の支払い金額を大幅に減らすことも可能です。
■残クレのデメリットは?
残クレには「金利がかかる」「追加料金が発生する」「使用にあたって制約がある」「残価保証で損をすることも」などのデメリットがあります。それぞれのくわしい内容を確認してみましょう。
・残クレのデメリット1:金利がかかる
残クレは、残価を引いた車の価格に加えて「金利」を支払っていくローンです。残クレで車に乗り続けている場合、金利を長期的に支払っているデメリットがあることを意識したほうがよいでしょう。
金利がどれくらいかはメーカー(販売店)、時期、プランなどによって変わってきますが、高金利を設定しているケースもあります。また、車は価格が高い商品のため、仮に低金利だとしても金利がかさみやすいので要注意です。
・残クレのデメリット2:追加料金が発生する
残クレを利用して最終支払い月に「車を返却する」を選んだ場合、ボディに傷がついていたり、車が壊れていたりするとマイナス査定となり、その分を契約者が負担することもあります。
・残クレのデメリット3:使用にあたって制約がある
残クレで購入した車は、「改造ができない」「走行距離の上限がある」などの制約があります。そして、これらの制約を守らなかったときには、追加料金を請求される可能性もあります。その内容は各社で違うため、残クレを利用したい人は制約とペナルティの内容を確認してから契約しましょう。
・残クレのデメリット4:残価保証で損することも
残価が保証されている残クレは安心感がある一方、満了時の市場価格が予想を上回ったときに契約者が損をする可能性もあります。こういったことを防ぐため、市場価格を上回ったときに、その分を上乗せするタイプの残クレもあります。
また、残価が保証されていない残クレの場合、満了時の市場価格が予想を下回ったときに追加料金が発生することも注意が必要です。このように一口に残クレといっても中身はさまざまのため、比較したうえで選ぶのが賢明です。
■残クレと相性がよい人は?
メリットを踏まえると、残クレと相性がよい人としては、まず「月々のローン負担を抑えたい人」が挙げられます。単純にローンの負担を減らしたい人の他、ローン支払額を抑えることで「ハイクラスな車に乗りたい人」もメリットを享受しやすいと考えられます。また、3~5年おきに「最新車種に乗り換えたい人」も相性がよいでしょう。
残クレよりもお得感があるカーリースという選択も
ここまでの内容で残クレの仕組み、メリット・デメリットなどについてはご理解いただけたと思います。さらに、人気が広がっている車の利用方法である「カーリース」についても紹介したいと思います。
■最近人気の広がるカーリース。残クレとの共通点は?
カーリースは、頭金0円・月々定額で好きな車に乗れるサービスです。車を所有しないサブスクリプションとして、最近、個人ユーザーの利用者が急増しています。
カーリースは残クレと共通点が多いですが、根本的に違うサービスです。ここでは、両者の共通点と違う部分を整理していきます。
はじめに、カーリースと残クレの共通点を見ていきましょう。以下の共通点があります。
- 契約時に車の価格から残価を引くことで月々の負担が軽くなる
- 走行距離や改造できないなどの制限がある
- 契約満了時に車をどうするか複数の選択肢がある
これらの共通点を知って、「カーリースと残クレは、ほぼ同じなのではないか」と感じる人もいらっしゃるでしょう。しかし、両者はまったく違うサービスです。以下のような違いがあります。
■カーリースとの違い:残クレは初期費用が必要
残クレで車に乗るためには、初期費用として各種税金や頭金が必要となることもあります。車種によっても異なりますが、ある程度まとまった金額が必要になるのです。
カーリースだと基本的には初期費用がかからないため、この点は残クレとの違いといえます。
■カーリースとの違い:残クレには諸費用が含まれない
カーリースと残クレの月々の支払額を比べると、カーリースの方が支払額が高くなる傾向があります(車種、契約期間、残価などの条件が同じ場合)。理由は、カーリースの月額料金には以下の諸費用が含まれるからです。
- 自賠責保険料
- 自動車税(種別割)、自動車重量税
- 車検費用
- メンテナンス費用 など
※諸費用がどこまで月額料金に含まれるかは、カーリース会社やプランによる
これに対して、残クレは諸費用を契約者ご本人が、その都度払っていきます。
つまり、表面的な月々の支払額だけで見ると、残クレの方が支払額は少ないですが、実際には単純比較できないということです。カーリースは「諸費用がコミコミなので安心」との声もあります。
■カーリースの方がお得になる人も
結局のところ、カーリースと残クレのどちらがお得なのでしょうか。両者は似ているようで異なる契約形態なので単純比較はできません。 前述したように、残クレの方が月々の支払い額は抑えられますが、初期費用や車検・メンテナンス費用が必要となります。ご自身に合ったサービスがどちらなのか、じっくり考えてみてください。
カーリースに興味が湧いてきた人はコスモMyカーリースを要チェック
この記事では、残クレの仕組みやメリット・デメリットとともに、カーリースとの違いについても解説してきました。ポイントを振り返ってみましょう。
残クレは、契約者のプラスにもマイナスにもなる仕組みのため、メリットとデメリットの両方を把握して検討することが大事です。残クレのメリットとデメリットは、次の内容でした。
メリット
- 返済額を抑えやすい
- 乗換えがスムーズ
- 新型車種に乗り続けられる
- 中古車でも利用できる
デメリット
- 金利がかかる
- 追加料金が発生する
- 使用にあたって制約がある
- 残価保証で損をすることも
また一口に残クレと言っても各社で金利が違いますし、残価保証があるもの、ないものがあります。契約前に内容を確認したり、比較したりすることが重要です。
記事の後半では、個人ユーザーに人気の広がっているカーリースと残クレを比較しました。残クレとカーリースの違いをまとめると以下の表になります。
残クレ | カーリース | |
---|---|---|
初期費用 | 必要 | 不要 |
月々の支払いに 諸費用が含まれるか |
含まれない | 含まれる |
走行距離の制限 | あり | あり |
カスタマイズ | できない | できない |
両者の違いを踏まえると、カーリースと相性がよいのは以下のような人たちです。
- まとまった金額を払いたくない
- 月々の支払い額を諸費用を含めて一定にしたい
- 車の所有にこだわらない
- サブスクリプションを利用して身軽な生活をしたい
ご自身が「カーリースに向いている」と感じる人や、カーリースに「興味が湧いてきた」という人は、コスモMyカーリースも要チェックです。魅力は、国産全メーカー・全車種から車を選べる自由度の高さや、ガソリンや軽油が割引になる(※指定カードで給油した場合。月間100リットルまで)など。他にもたくさんの魅力があるので公式サイトを閲覧してみましょう。
【プロフィール】
本間 貴志編集ライター。WEBライティング実務士。ビジネス書の編集会社、アスラン編集スタジオを経てフリー。ZUU、YANUSY、MONEY TIMESなど大手WEBメディアで活躍。車をテーマにした記事も数多く執筆。信頼性のあるデータに基づいた記事が得意。
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