目次
カーリースの名義変更は基本的にできない
原則、カーリースの名義変更はできません。
主な理由は、車検証の登録名義はカーリース会社だからです。そもそもカーリースとは、カーリース会社が所有している車両を貸し出す仕組みであり、月額料金という形で定めた期間だけ貸し出しを行います。
つまり「借り手」に該当する契約者には、名義変更を行う権利が与えられていないのです。
車検証の名義について
そもそも車検証に記載される名義には、「所有者」と「使用者」の2つの名義があります。
カーリースを利用する場合、車両の所有者は「カーリース会社」、使用者は「契約者」が記載されることが一般的です。先述のとおり、車両を所有しているのはカーリース会社であり、カーリース会社の車両を使用するのは契約者だからです。
では、車検証の名義がカーリース会社であると、どんなメリットやデメリットがあるのか次で詳しく見ていきましょう。
名義がカーリース会社であることのメリット
所有者の名義がカーリース会社であることのメリットは、次のとおりです。
- 1. 車の登録を代わりに行ってもらえる
- 2. 毎年の自動車税を支払う必要がない
上から順番に解説していきます。
メリット①:車の登録を代わりに行ってもらえる
名義がカーリース会社の場合、面倒な車の登録を代わりに行ってもらえることがメリットです。
そもそも車検証に記載されている所有者とは「車の所有権のある人」のことであり、登録の手続きを行う義務が発生します。一方の使用者とは「車を実際に利用する人」のことであり、適切に車を管理する義務はあっても登録の手続きを行う必要はありません。
車の購入時には、市区町村役場で住民票や印鑑証明書を発行してもらって、ディーラーや中古車販売店で手続きを行う必要があります。このような手続きが面倒であれば、カーリースの利用をおすすめします。
メリット②:毎年の自動車税を支払う必要がない
毎年の自動車税を支払う必要がない点も、名義がカーリース会社であるメリットです。
所有者の名義がカーリース会社なので、自動車税の支払い義務もカーリース会社にあるからです。
自動車税は毎年4月1日時点の所有者に課税される税金です。納税しないと車検が受けられないほか、納税を延滞すると延滞金の発生といったペナルティが生じます。
カーリースであれば自動車税の支払いをカーリース会社に任せられるので、上記のようなペナルティを契約者が受ける心配はありません。
名義がカーリース会社であることのデメリット
以下は、名義がカーリース会社であることのデメリットです。
- 1. 改造することができない
- 2. 車の売却ができない
順番に詳細を説明していきます。
デメリット①:改造することができない
カーリース会社の名義では、改造できないことがデメリットです。
自分の車ではないので、契約期間を終えると返却する必要があります。
カーリース会社によっては改造が認められる場合もあるかもしれませんが、基本的には返却時には原状回復が前提です。改造はできても、返却時に戻せないような改造やカスタムは禁止されている場合がほとんどです。
車の改造やカスタムをする予定があるなら、買取りできるカーリースを利用するか車を購入しましょう。
デメリット②:車の売却ができない
車の売却ができないことも、カーリース会社が名義であるデメリットです。
カーリースの契約期間が終わると、借りた車両を返却する必要があります。
ローンで購入する場合は、自身の所有物になるので売却も自由です。しかし、カーリースの場合はリース会社の所有物なので、中古車販売店などに売却することはできません。
ただし、リース期間終了後に買い取って名義変更を済ませたあとであれば、自身の所有物になっているため売却は可能です。
以上の理由から、車の売却を前提とするなら買取り可能なカーリースの利用やローンでの購入を検討しましょう。
カーリース車両は名義変更せずに契約者以外でも運転できる
カーリース車両は、名義変更せずに契約者以外でも運転できます。
運転者については、車の購入時と同じような扱いだからです。
名義に関係なく家族が運転することは可能なので、契約者の配偶者や子どもが運転することはできます。リース期間中に契約者の子どもが車の免許を取得したあと、カーリース車両を契約者名義のまま利用することは可能ですし、利用が子ども中心になったとしても問題ありません。
しかし、契約者がカーリース車両を利用しないからといって、子どもに名義を変更することはできません。
また、他人に貸し出すことを前提にリース契約する「名義貸し」は違法なので、運転者が契約するようにしましょう。
契約者以外がカーリースの車を運転する際の注意点
契約者以外がカーリース車両を運転する際の注意点は、以下の2点です。
- 自動車保険(任意保険)が適用されないことがある
- リース料は契約者が支払う必要がある
自動車保険には、運転する人の範囲や年齢といった適用条件があります。
本人限定の契約で契約者が対象の場合、家族がカーリース車両を運転して事故を起こしてしまっても補償されません。また、たとえば30歳以上の年齢に限定されていると、18歳の子どもは補償の範囲には含まれないので、同様の注意が必要です。
上記のようなケースがあるので、自動車保険の補償範囲は事前に確認しておきましょう。シェアする人が補償範囲に含まれていないのであれば、カーリースに特化した自動車保険の加入や、契約している自動車保険の特約の見直しなどをおすすめします。
なお、カーリース料金の支払い義務は契約者にあるので、家族や友人といった別の人に支払いを代わってもらうことはできません。
カーリースで名義変更が必要なときはどうすればいい?
カーリースで名義変更が必要なケースをいくつか想定しました。
- 1. 結婚や離婚で姓が変更
- 2. 海外の転勤で残された家族だけが利用を継続
- 3. 契約者本人が亡くなった場合
それぞれ名義変更は可能なのか、上から順番に見ていきましょう。
ケース①:結婚や離婚で姓が変更
結婚や離婚などの理由で姓が変更になった場合、カーリースの使用者名義の変更が認められます。
名前の変更だけで、利用者が別の人に変わるわけではないからです。
姓を変更すると、「現在の使用者の氏名(新姓)」と「車検証に記載された使用者の氏名(旧姓)が異なってしまうので、車検証の名義を書き換える必要があります。
ただし、自身で勝手に書き換えることはできないので、カーリース会社に連絡して相談をしたうえで名義変更の手続きを行いましょう。
ケース②:海外の転勤で残された家族だけが利用を継続
契約者が海外に転勤して国内に残った家族が利用を継続する場合、カーリースの使用者名義の変更は認められません。
原則、契約者はリースの契約期間中は責任をもって車を管理し、リース期間終了後はカーリース車両を返却する義務があるからです。
カーリース会社によって扱いが変わりますが、場合によっては強制的に解約させられることもあります。仮に名義変更が認められたとしても、再審査を要求されるなど簡単にできないケースがほとんどです。
ただし、海外に転勤した契約者名義のカーリース車両を家族が利用することは可能なので、名義変更するメリットは特にないといえます。
ケース③:契約者本人が亡くなった場合
契約者本人が亡くなったり長期の入院を余儀なくされたりした場合でも、カーリース車両の名義変更は認められません。
家族が継続してカーリースを利用しない場合は、名義変更よりも中途解約の手続きをカーリース会社から勧められることがほとんどです。しかし、中途解約の場合は残りのリース料や違約金の支払いを一括で支払わなければなりません。
上記のようなリスクを避けるためにも、契約は「一定期間が経過すれば解約しても違約金が発生しないプラン」を選んでおくなど、万が一の事態に備えて契約しましょう。
名義変更の可否はカーリース会社や状況によって異なるので、カーリース会社に相談しましょう。
カーリース車両を買い取った場合は所有者の名義変更が可能
カーリース車両を買い取った場合、所有者の名義変更が認められます。
車両の買取りによって所有者がカーリース会社ではなくなるので、所有者を自身の名義に変更できるのです。
カーリース会社や契約プランによって異なりますが、リース期間が満了になると買取りできる場合もあります。また、リース期間満了でカーリース車両がもらえるプランが用意されているカーリース会社も存在します。
上記のようなケースで名義変更を済ませると、カーリース車両の売却や譲渡も可能です。
買い取ったカーリース車両の名義変更は代行できる?
買い取ったカーリース車両の名義変更は、利用中のカーリース会社に代行を依頼できる場合もあります。
自身で名義変更を行う場合は、書類の作成や管轄の運輸支局まで足を運んで手続きを行う必要があります。知識や時間のない人が名義変更を自分で行うのは大変です。カーリース会社に代行してもらえば、余計な手間や時間をかけずに名義変更を済ませることができます。
まずは、カーリース会社に問い合わせてみましょう。
代行費用以外の費用も発生する点には注意が必要
カーリース車両を買い取る場合、名義変更の代行費用以外の費用も発生するので注意が必要です。
代行費用のほかには、主に以下のような費用が発生します。
- カーリース車両の残価(残価設定型の場合)
- リサイクル料金
- 自動車税
カーリース契約が残価設定型の場合、カーリース車両の残価を支払う必要があります。支払い方法については、カーリース会社と相談しましょう。ただし、残価の支払いは一括払いが前提で、分割払いはできない場合がほとんどです。
リサイクル料金は、新車や中古車を購入する際に発生する費用です。地球環境保護が主な目的で、法律によって支払いが義務付けられています。
自動車税については、カーリース会社が納税を済ませている未経過期間の分を、車両を買い取った契約者が代わりに支払う必要があります。
カーリース車両を買い取る際は、車両代金以外の費用も用意しましょう。
まとめ:カーリース車両は名義変更できないが契約者以外も利用できる
カーリースは原則、たとえ家族であっても名義変更は認められません。
しかし、契約者の家族間でカーリース車両をシェアすることは可能です。家族が利用する際は自動車保険の補償範囲に注意して、安全に乗るようにしましょう。
また、万が一の事態や心境の変化も想定されるのであれば、期間の短いプランやリース期間を終えると車両を買い取れるプランなども検討してみてください。
カーリースを利用することで毎月の出費が一定になって管理しやすくなるうえ、面倒なことはカーリース会社に任せられるメリットがあります。
ぜひ、カーリースのご利用を前向きに考えてみてください。
【ライタープロフィール】
近藤 大助自動車メディアでの執筆経験は約5年。エイチームの「ナビクルcar」や「トヨタの中古車アプリ・remobii」の記事のほか、八重洲出版のバイク専門誌「モーターサイクリスト」、中古車ガリバー、Keeper Proといった大手の出版社や企業の記事を執筆。「Yahoo!ニュース」掲載経験あり。
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